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もうすぐ神在月の出雲へ~龍蛇神とドウメ節と

出雲神話の舞台・出雲へ行ってきました。

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10月のことを神無月というのは、八百万の神々が10月に出雲にお集まりになるため。
反対に神様が集結する出雲では10月を神在月と呼ぶというのは有名な話です。
旧暦の10月なので、今の暦でいうと、10月下旬くらいからが神在月になります。
もうすぐですね。

私は学生のときに旅行でたずねた以来の訪問なので
かなり久しぶりだったのですが、
神門通りが今風に変わっていて、時の流れを感じました。
鳥居のすぐ前にスターバックスがあることに、うぉ?とめんくらいつつ、
悩んだ結果、大社珈琲というお店でひと休み。
ロゴに大注連縄と珈琲豆がデザインされてて、凝ってます。
出雲ぜんざいケーキもあり、地元コンテンツがばっちり活かされていて素敵。
珈琲もおいしい。

さて、一歩境内に入ると、神門通りの賑やかで今っぽい雰囲気から、やはり空気が変わります。
参道が坂を下る形になっているのが珍しい。


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境内からは巨大な木の柱が出土しており、
それはおそらくかつての巨大神殿を支えた「心御柱」「宇豆柱」ではないかと考えられているそうです。
境内には出土地点が示されています(地面の○印がそれ)

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これについては、下記の國學院大學メディアに詳しく記されていました↓



今回はじめて知ったのが「龍蛇神」の存在です。
神在月には神々が出雲にお集まりになりますが、
神々の先導役を務めると考えられているのが「龍蛇神」。
出雲では地元の海に漂着するウミヘビのことを龍蛇神と考え、
浜にウミヘビが流れ着くと、神社に奉納するのだそう。
神事の後には、家庭でも龍蛇神をお祀りするとのことで、
取材先の神棚にも龍蛇神が祀られていました。
しかも龍蛇神様の祠がいくつも。龍蛇神信仰が篤いことにびっくり。

『まじない食図鑑』に、龍神と水神と云々~と少し書きましたが、
龍蛇神はまた龍神や水神とはまた違う系譜ということなのでしょうか。
海人族と関係があるのか?? 気になるなぁ。

国譲り神話の舞台となった稲佐の浜は、
神在月に神々がお集りになり、「神迎神事」が行われる地でもあります。
ここは夕陽の名所としても有名ということで、
陽が沈むまで1時間ほど海を眺めました。
弁天島の向こうの空、その色合いが刻一刻とうつりゆき、
複雑で一言ではとても言い表せないような色彩に変化していきます。

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この色、何色って言えばいいんだろう?
稲佐の浜の夕陽は、出雲観光のハイライトとしてもおすすめしたいです。
夕陽の前30分くらいから、日が沈んでしばらくまでが色の変化が楽しめていいと思う。

もうひとつ、今回は「ドウメ節」でだしをとった
出雲蕎麦を食べられたのも収獲でした。
ドウメ節は、ウルメイワシの骨をとりのぞき、蒸して乾燥させたもので
昔はよく使われていたそう。
手間がかかるため、最近はあまり使われないそうですが、
「出雲蕎麦の老舗は今もドウメ節を使っていますよー」と教わって、食べてみました。
以前も確か同じ店で食べ、不思議な味のつゆだなーと思ったのですが、
謎がやっと解けました。
昆布、鰹節、いりこ、あご、どれとも違う、強い個性のあるだしです。
それでいて薄めの味付けで、江戸の濃いそばつゆとは全く違います。


取材先への道すがら、黄泉比良坂を通りかかったのも、興味深かったです。
黄泉の国との境目にある黄泉比良坂は、イザナギとイザナミの最後の神話に出てくるあの場所。
変わり果てた姿で追いかけてくるイザナミから逃げようとしたイザナギが
追手に桃の実を投げた神話の舞台です。
私は日本文学専修だったため、学生の頃は古事記の講義も必修だったのですが、
教授が黄泉比良坂について熱く語っていたのを思い出しました。

とはいっても、思い出すのは別のこと。
確か講義で私はちょうど黄泉比良坂のあたりで発表担当で、
ひどく不勉強だったために、教授に思いっきり怒られた思い出があるんですね。
あちこち寄り道しつつ、ぐるっと回って興味が大学の頃と同じところに戻ってきたことを実感している私は、
正直、先生の言う通りにあの頃もっとちゃんと勉強しておくんだったと悔やんでおります。。
先生ごめんなさい。やっぱり後悔先にたたずでした。


翌日、取材後に時間が余ったので、少し寄り道。
有名な「出西窯」へ行ってみました。
ここは工房が自由に見学できるのがいいです。
普段使いのお皿を買ってきました。

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今回は、龍蛇神のことを通じて、出雲には神話や信仰が色濃く息づいていることを感じました。
一昨年、諏訪を訪れた時、神話の向こう側に広がる土着信仰の世界を知り、
それがあまりに奥深くて驚いたのですが、当然ながら、出雲もとっても奥深い。

日本神話の世界でもひときわ特別な場所。
神在月にもう一度訪れて、滞在してみたいです。

# by lyrica-sha | 2019-10-23 20:59 | 取材日誌

なまはげ伝承の地・男鹿へ

ついに、長年憧れ続けた秋田県の男鹿半島に行ってきました。

1月3日に真山神社で行われる神事の柴灯祭を一度見てみたく、

昨年問い合わせもしていたのですが、

真冬の男鹿に一人で行くというのはなかなかハードルが高く、断念していたんです。

今回は念願かなって仕事で男鹿に行けることになり、ついに憧れの地へ!


秋田へは東京から新幹線こまちで4時間、そこから男鹿半島真山エリアへは車で約1時間ちょっと。

各地から訪れるにはだいぶ遠い男鹿。

それが幸いしたのかどうかは分かりませんが、まだまだあちこちに手つかずの自然が残っています。

海岸線を走るとさみしくてちょっと怖いくらい。


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山岳信仰の霊山でもあった真山神社。

1月には神事・柴灯祭が行われ、

2月の観光イベント「なまはげ柴灯まつり」の会場にもなる場所です。

余計なものがなく、凛としたお山の空気に包まれて

信仰の場としての神社が

静かにたたずんでいるのがいいです。


なまはげの伝承の数々、謎に包まれた起源。
興味深いことばかりでした。


伝承館では大晦日のナマハゲ実演も見学しました。

民俗行事や祭りはたいていは年に一回とか、ものによっては数年に一回とか、

その日その場所に行かなければ見ることができません。

ですが、ここでは古民家の中で誰でも行事を体感できるのでとても貴重だと思います。


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なまはげが来た!!
四股をふみ、戸板をならしながら、家の中を歩き回るナマハゲ。
大迫力。怖~。
家の主人はナマハゲに御膳と酒をすすめます。

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なまはげがやおらとりだしたのは・・・「なまはげ台帳」。
手書きの文字がちょっとかわいい!

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ここでナマハゲは台帳を見ながら家のお年寄りを気遣います。
家の者がお年寄りを大切にしてあげないとだめだぞという内容です。
これは意外だった。
なまはげ=怖いというのが世のイメージだと思いますが、
怖いだけではなくて、人々を常に見守っている存在なんですね。

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さらにナマハゲは家の中を踏み鳴らし、戸板を叩きバンバン音をたてながら歩き回ります。
こうすることで、家の厄を祓う意味があるのだそうです。

なまはげは山の神の化身だとされます。
ですが、その起源は謎に包まれており、いくつもの説があるそう。

伝承館の隣にはナマハゲに関するさまざまな資料を展示する「なまはげ館」が。

一番の見所は「なまはげ勢ぞろい」です。

集落によって衣装もナマハゲ面もさまざまであることが分かり、驚くほど多様です。

こうして見ると、南の島の面にも似ているような。

なまはげはどこから来たんでしょうか。


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なまはげ館にはなんと「来訪神コレクション」のガチャがありました。

これ、ほかにどこにあるんだろうか。全国10カ所にあるんだろうか。

ガチャになっているのは全5種類で、私はメンドンをゲット。

なまはげ狙いの編集さんにボゼをめぐんでもらったため、

ボゼとメンドンの鹿児島来訪神ペアを手に入れました。
これきっとレアだぞ。


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男鹿には雄大な自然も残っています。

半島の突端にある入道崎へも。


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駐車場近くにある「なまはげ御殿」では石を焼いて投入して煮立たせる石焼料理も初体験。

焼いた石で瞬時に調理するために、鯛はふわふわ、出汁もとってもおいしい。

ここでしか食べられない郷土料理です。


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「ナマハゲ御殿」のおすすめは海鮮丼だということで、食べてみました。

先代が元漁師さんで新鮮な魚介類にこだわっているそうで、とびっきりおいしかったです。


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今度は本物のナマハゲを見られる真冬に訪れてみたい。

土地の人による土地の人のための本物のナマハゲはどんな感じなのだろう。

謎に包まれたナマハゲの起源も含め、

もっともっと知りたくなる魅力的な地でした。


# by lyrica-sha | 2019-09-28 14:10 | 取材日誌

Consultant「祭り 非日常と祈りの文化」に寄稿しました

建設コンサルタンツ協会が発行する『Consultant』という雑誌があります。

7月発行号は「祭り 非日常と祈りの文化」特集。


私は「食と祭り~祈りを食べる~」という文を寄稿しました。

祭や祈りで供えられる食と、その背景やルーツについて紹介しています。


特集ではほかにも

国立文化財機構/東京文化財研究所の久保田裕道先生

(『目からウロコの日本の神様』などたくさんの本を著されている先生)による

「神様から見た日本の祭り」と来訪神の話


篠笛奏者・森田玲さんによる「祭りが育む日本の音」


國學院大學の茂木貞純教授(『新神社祭式行事作法教本』編著の先生、私も本を持っています)

による「地鎮祭の歴史と意義」


写真家・芳賀日向さん(民俗写真家・芳賀日出男さんの息子さん!)による

震災と祭りのゆくえについての話


長岡市の山岸孝広さんによる長岡まつりと災害復興についての話


も掲載されています。


祭りや民俗が好きな方、神道に興味のある方にとってはなかなか濃い内容かと思います。

国土交通省・農林水産省や、建設関係の大学・高専などで配布されているそうです。

見かけた方はぜひ読んでみてください。


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# by lyrica-sha | 2019-08-21 10:20 | お仕事のお知らせ・掲載情報

古民家情報誌『ジャパトラ』に寄稿しました

古民家情報誌『ジャパトラ』5月号に寄稿しました。

『ジャパトラ』は古民家に関する情報誌。

古民家再生や普及に関わる一般社団法人住まい教育推進協会が発行し、

日本の伝統文化や古民家に関わるモノ・コト・ヒトを

いろいろな側面から紹介する雑誌です。


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私は年数回ほど「日本の伝統と旅、食」の切り口で書いています。

今回は「ワサビ農家の暮らしを知る 大沢の里古民家」。

東京・三鷹市にある明治時代よりワサビ栽培を営む農家の

母屋を復元した野外博物館「「大沢の里古民家」をとりあげました。

「大沢の里古民家」は自然豊かな三鷹市大沢にあり、

野外博物館として伝統文化を学ぶさまざまな催しも行われます。

今回は「ワサビの食体験」イベントを中心に、

ワサビ農家の暮らしや、古民家再生のこと、

自然と暮らしを未来に残す「エコミュージアム」のコンセプトなど紹介しています。


既刊号ではこれまでに

旧坂東家住宅見沼くらしっく館の「恵比寿講」

能登・柳田植物公園の合鹿庵での「あえのこと」

浅草・酉の市の縁起物と「切山椒」

など私のテーマである祭りや伝統行事で継承される食文化について寄稿してきました。


『ジャパトラ』は全国の古民家宿や古民家カフェなどにも置いてあります。

主な設置場所はこちら。

フリーペーパーですので、日本の伝統文化や古民家に興味のある方はぜひお気軽にお手に取ってみてください。


# by lyrica-sha | 2019-06-09 10:36 | お仕事のお知らせ・掲載情報

夜の竹林

宇都宮の続きです。
昨年から一般公開がはじまった「若竹の杜 若山農場」にも行ってきました。

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何代も続く有機栽培の竹農家さんが、丁寧に手入れをした竹林。
一般に竹林は熊笹が茂っていたり、中まで入れるところは少ないそうで、
ここのように綺麗に手入れされ、かつ広大な竹林は珍しいそうです。
竹林好きにはおすすめしたい。
週末の夜はライトアップされ、これまた幻想的な雰囲気に。
(期間限定で今は平日もやっています)
こちらも数々のロケ地となっている場所です。

私の故郷の鹿児島には竹林が多く、家の裏山の竹林を眺めてボーっとするのが好きでした。
という話をしたら、鹿児島は日本における竹のふるさとと教えてもらいました。
(ちなみに鹿児島ではこさん竹とか大名竹とかいろんな竹の筍を食べます。しかもおいしい!)

さて、竹林へ。

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日暮れ前に到着し、日が暮れるのを待ちました。
だんだん空が暗くなってゆく。その間際の空の色、綺麗。


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あたりが夕闇に包まれたら、ライトアップされた竹林へ。
今はJRのアフターディスティネーションキャンペーンとの連動企画で、期間限定の「竹あかりのトンネル」も。

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竹林の道。
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風の音、竹の葉ずれの音、足元でかさこそと何か動く音。
街中では普段耳にしない音が聴こえてきます。
普段、これだけの自然の中に闇の中、身を置くことはあまりないので、怖さすら感じるくらいです。

園内に違う種類の竹が色々あるので、竹の魅力にも触れられそう。
時季によっては筍狩りも体験でき、竹の器で抹茶を飲んだりもできるので、家族連れのお出かけにも。

私が訪れたのは夕方~夜でしたが、
朝の淡い光や、昼間に訪れたら
また違う色彩の、美しい竹林が見られると思います。

# by lyrica-sha | 2019-06-08 14:08 | 取材日誌

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。りり花はlyricalから、「日本の旅を詩的に」がテーマ。食の民俗学、各地の食べるお守り、神々の食を取材しています。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(ともに青弓社)。ブログは徒然更新、最新情報はtwitterでつぶやいてます。https://lyricayoshino.com


by 吉野りり花
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