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真如堂涅槃会と真古館

炭屋旅館でのイベントが終わったあと真如堂の涅槃会へ。
大涅槃絵の特別公開に間に合わなくて残念。。
でもお目当ての「花供曽」をゲット。
はい、言いましたよ、「花供曽くださーい」って(笑)。


花供曽(はなくそ)とは
真如堂の「花供曽」は、正月ご本尊に供えた鏡餅のお下がりを
小さく刻んで軽く焼き、黒砂糖をからめて菓子にしたものです。
その変わった名前は、仏さまへの供物を意味する「花供御(はなくご)」に
由来するのではないかと思われます。
花供曽をいただくと無病息災で過ごせるといわれ
昔から当山では、涅槃会にご参拝の方々に授与しています。

涅槃とは

「涅槃」とはもともと欲望の炎が吹き消された状態をいいますが、
やがてお釈迦さまの死そのものを意味するようになり、
その様子を描いたものを「大涅槃図」と呼ぶようになりました。
真如堂の涅槃図は、1707年三井家の女性たちの寄進によって、
厭求、海北友賢らにより制作されたものです。

(以上、真如堂でいただいた花供曽のパッケージ内の説明より引用)



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その足で吉田山方面へ。
元東伏見宮家別邸であり現在は料理旅館となっている吉田山荘にあるカフェ真古館でひとやすみ。
真如堂から徒歩4~5分で着きます。


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# by lyrica-sha | 2014-03-17 10:01 | 取材日誌

炭屋旅館で「いのしえのかほり~日本を彩る香りの文化」

3月15日に京都・炭屋旅館 で行われた香りのイベント「いにしえのかほり~日本を彩る香りの文化」に行ってきました。

このイベントには京都で和のアロマを販売されている「癒しの香り」の村主様にお誘いいただきました。
癒しの香り」では清水焼を使ったアロマベッセルというアロマ芳香器と、「桜」と「凛」という二種類のアロマを販売されています。


講師はメディカルアロマセラピー教室Angeliqueを主宰するmasami先生。
会場の炭屋旅館は京の御三家にも数えられ茶の湯にもゆかりのある老舗旅館です。

香道には以前から興味があったのですが、これまで触れる機会がありませんでした。
この日は和の香の歴史や、香の効能とも言える香十徳などについて講義を受けたあと、
白檀や桜、高野槇など和の香りの色々に触れ、聞香も体験することができました。

香道では香りを聞くと言うけれど、
どうして香りを「聞く」と言うんだろう。
これが前から不思議だったんですが、
「香りからのメッセージを心で聞く」からなんだそうです。
香りを通じて心を高めるのが香道の神髄とのこと。


和のかおりは奥ゆかしくてやわらかく、
聞いたあとに自然に笑顔がこぼれてしまうような香り。


炭屋旅館さん。

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はちみつで練り込んで作る練り香。

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穴のあいた板は数珠をとったあとの香木。
山田香木店で販売されており着物ダンスなどに入れておけば虫除けになるそうです。

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炭屋旅館のお料理。
春です!

炭屋旅館で「いのしえのかほり~日本を彩る香りの文化」_c0303307_9534157.jpg


香の世界に少しだけ触れて
春らしく華やかな時間を過ごすことができました。
# by lyrica-sha | 2014-03-17 09:55 | 取材日誌

遠野の小正月~オシラサマとみずきだんご

遠野伝承園にて。


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伝承園には千体のオシラサマが祀られている御蚕神堂があります。
訪れたのが小正月翌日だったので
曲り屋ではオシラサマを遊ばせるオシラアソバセで
新しい服に着替えをされたオシラサマがおられました。

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こちらはミズキダンゴ。
小正月にミズキの枝に色とりどりのダンゴを飾るもの。
同じようなものは全国各地にあります。
私の故郷である鹿児島ではメノモチと呼ばれていました。
うちは今年も飾ったそうですが、鹿児島でも今ではメノモチを飾る家も少なくなったそう。
長野では蚕の神様にちなんで桑の木にさげるものを繭玉というそうです。

この日伝承園に飾られていたミズキダンゴは鮮やかな色彩ですが、
これは観光用に色をはっきりつけて作ってあるためだそうです。
紅白の餅のほかにお多福様やひょうたんも下がっていました。

ミズキダンゴについては非常に面白い話も聞けました。
こちらはもう少し追加取材してみようと思います。
# by lyrica-sha | 2014-01-22 17:27 | 取材日誌

『永遠の0』と『遠野物語』と

少し前のことだけど、昨年の大晦日に
話題の映画『永遠の0』を見に行った。

戦争とか、命の重さとか、自分の意志で動くことが許されない時代のこととか
考えさせられたのは勿論なのだが、もうひとつ感じたことがある。

この物語では三浦春馬演じる主人公とその姉が
今は亡き祖父の存在を知り、
祖父を知る人を探す行動に出る。。

彼らが行動しなければ祖父という人物と
彼を取り巻く特攻兵たちのドラマは
知られないままに、祖父の知人の死によって
いつしか記憶の彼方に消えて行っていたはず。

実は、私の祖父も特攻兵だった。
知覧の特攻基地で出撃を待ち、
あと少しで飛び立つというところで終戦を迎えた。
祖父は九死に一生を得たそうだ。

祖父たちは戦後、同じ部隊の人々で冊子を発行したり
数年に一回、集まったりしていた。
毎年知覧基地に行き墓参りをすることも欠かさなかった。
私も幼い頃祖父に連れられて知覧基地に行ったことがある。

私は大学進学と同時に東京に出てきたが、
一時期病を患い実家に戻っていたことがある。
祖父は時々私のところにやってきて、
ぽつりぽつりと戦争のことを話し、冊子を読んでみてくれと手渡してくれた。
でも、その時の私は自分のことで精一杯で
祖父の話を聞く余裕がなかった。

それからすぐに私は東京に戻り、
さらに数年して祖父は亡くなった。
今は祖父が語ろうとした話を、聞きたくても聞くことができない。
どうしてあのとき祖父の話をじっくり聞かなかったのか。
私にはそれが悔やまれる。

先週、私は『遠野物語』の遠野を訪れた。
日本各地の土地に受け継がれる民俗や食についての取材をしたかったからだ。
「旅と民俗と郷土食」は私がずっと追っていきたいテーマ。
私は食を観察し書くことは人間がどうやって生きてきたか=人を描くことだと思っている。
ずっと書きたかったテーマの取材に今年はとりかかることにしたのだ。

昔の民俗行事を色濃く残す遠野でも
昔ながらの風習を知っているおじいちゃんおばあちゃん世代は高齢化していて、
今の世代は生活も変わり、年中行事などもやらなくなってきているそう。

「遠野でも昔ながらの原風景は急速に失われつつある」
「残さなくてはという思いでひいおばあちゃんからひまごに教えてもらっている」
「おばあちゃんたちから話を聞けるうちに聞いておかなきゃいけないよ」
地元の方々からそんな話を聞いた。

人の記憶の中に、宝物はつまってる。
こちらから聞かなければ
あったことも忘れられてしまうような
不確かなものだけど

いまなら聞くことができるし
残すこともできるはず。

遠野に向かう前に『遠野物語』を再読した。
前書きで柳田国男先生がこんな意味の言葉を書いていた。
「こんな話は今の時代にはあわないかもしれない。でも語らずにはいられない」
逡巡しつつも書き記してくれたからこそ、『遠野物語』の世界はしっかりと受け継がれ守られたんだろう。

人の記憶の中に、つまってる宝物を
探しに行きたいんだ、私も。
# by lyrica-sha | 2014-01-21 20:29 | 日記

遠野物語の郷へ 権現舞と小正月

柳田国男の書いた遠野物語は昔話の宝庫。
神隠しや姥捨山、おにばんばに隠れ里。
日本昔話の原型と思われる話が一冊の中にちりばめられている。

その遠野物語にも描かれたゴンゲサマを祀る遠野郷八幡宮で
小正月に行われる歳越祭では
権現様の神楽である権現舞が見られると知り
岩手県の遠野まで見に行ってきました。


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冬の遠野は雪の中。
静けさに包まれた八幡宮に法螺貝の音が響きわたる。


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参道からやってきた神楽衆が本殿の中へ。
ご神前には権現様が。
祝詞奏上のあと神むかえが行われ、神楽が始まります。

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遠野物語にあるように権現様が
火に見たてた赤い布を喰い消し火伏せをする所作も。

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神楽のあとには参拝者の頭を噛み、無病息災を祈ります。
本殿での神楽が終わると神楽衆は境内の馬場へ。


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どんど焼きの火入れが行われます。

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正月飾りをお焚き上げする
燃えさかるその火で福餅をあぶって食べれば
一年元気でいられるといわれるそう。


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二日目は伝承園へ。
今回の旅は自分のテーマである「旅と食文化」の個人的取材も目的でしたが
いろいろ面白い話を聞けました。
きっといつか本にするぞー!


ちなみに遠野は二度目でした。
前回遠野を訪れたのは夏。
その時はカッパ淵や山口の水車など夏らしい風景を旅したのですが、
冬のしばれる遠野でこの厳しい寒さを感じてこそ
この土地に伝わっている伝承の世界に
すこしだけ近づけたような気がします。

おまけに遠野の人はみんな親切。
バス待ちをしていると
「どごからきたの?あ、東京?どべっこさ飲んだ?のむいぐか?」

バスに乗ろうとすれば
「どごさいぐの?八幡宮?んだばあの人についでけば」

バスにのれば運転手さんが
「今時分来れるんだから学生さん?え、なに食文化の取材?
だったらお寺さんにも行ってみれば」
(ごめんなさい、方言は聞き取れないことも多く、うろおぼえです)

と遠野にいる間中、こんな感じでまちの人たちが人懐っこく話しかけてきてくれる。
訪れた八幡宮様でもいい出会いがいっぱいあったし。
今回の旅で私は一気に遠野が好きになってしまいました。

また行くぞー、遠野!

遠野郷八幡宮HP
# by lyrica-sha | 2014-01-17 16:21 | 取材日誌

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。日本の風景を詩的に綴る旅エッセイ、食の民俗学、食べるお守り、神々の食・神饌について書いてます。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(青弓社)。執筆ご依頼やお問い合わせはサイトの問い合わせ欄よりご連絡ください。https://lyricayoshino.com


by 吉野りり花