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なまはげ伝承の地・男鹿へ

ついに、長年憧れ続けた秋田県の男鹿半島に行ってきました。

1月3日に真山神社で行われる神事の柴灯祭を一度見てみたく、

昨年問い合わせもしていたのですが、

真冬の男鹿に一人で行くというのはなかなかハードルが高く、断念していたんです。

今回は念願かなって仕事で男鹿に行けることになり、ついに憧れの地へ!


秋田へは東京から新幹線こまちで4時間、そこから男鹿半島真山エリアへは車で約1時間ちょっと。

各地から訪れるにはだいぶ遠い男鹿。

それが幸いしたのかどうかは分かりませんが、まだまだあちこちに手つかずの自然が残っています。

海岸線を走るとさみしくてちょっと怖いくらい。


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山岳信仰の霊山でもあった真山神社。

1月には神事・柴灯祭が行われ、

2月の観光イベント「なまはげ柴灯まつり」の会場にもなる場所です。

余計なものがなく、凛としたお山の空気に包まれて

信仰の場としての神社が

静かにたたずんでいるのがいいです。


なまはげの伝承の数々、謎に包まれた起源。
興味深いことばかりでした。


伝承館では大晦日のナマハゲ実演も見学しました。

民俗行事や祭りはたいていは年に一回とか、ものによっては数年に一回とか、

その日その場所に行かなければ見ることができません。

ですが、ここでは古民家の中で誰でも行事を体感できるのでとても貴重だと思います。


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なまはげが来た!!
四股をふみ、戸板をならしながら、家の中を歩き回るナマハゲ。
大迫力。怖~。
家の主人はナマハゲに御膳と酒をすすめます。

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なまはげがやおらとりだしたのは・・・「なまはげ台帳」。
手書きの文字がちょっとかわいい!

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ここでナマハゲは台帳を見ながら家のお年寄りを気遣います。
家の者がお年寄りを大切にしてあげないとだめだぞという内容です。
これは意外だった。
なまはげ=怖いというのが世のイメージだと思いますが、
怖いだけではなくて、人々を常に見守っている存在なんですね。

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さらにナマハゲは家の中を踏み鳴らし、戸板を叩きバンバン音をたてながら歩き回ります。
こうすることで、家の厄を祓う意味があるのだそうです。

なまはげは山の神の化身だとされます。
ですが、その起源は謎に包まれており、いくつもの説があるそう。

伝承館の隣にはナマハゲに関するさまざまな資料を展示する「なまはげ館」が。

一番の見所は「なまはげ勢ぞろい」です。

集落によって衣装もナマハゲ面もさまざまであることが分かり、驚くほど多様です。

こうして見ると、南の島の面にも似ているような。

なまはげはどこから来たんでしょうか。


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なまはげ館にはなんと「来訪神コレクション」のガチャがありました。

これ、ほかにどこにあるんだろうか。全国10カ所にあるんだろうか。

ガチャになっているのは全5種類で、私はメンドンをゲット。

なまはげ狙いの編集さんにボゼをめぐんでもらったため、

ボゼとメンドンの鹿児島来訪神ペアを手に入れました。
これきっとレアだぞ。


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男鹿には雄大な自然も残っています。

半島の突端にある入道崎へも。


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駐車場近くにある「なまはげ御殿」では石を焼いて投入して煮立たせる石焼料理も初体験。

焼いた石で瞬時に調理するために、鯛はふわふわ、出汁もとってもおいしい。

ここでしか食べられない郷土料理です。


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「ナマハゲ御殿」のおすすめは海鮮丼だということで、食べてみました。

先代が元漁師さんで新鮮な魚介類にこだわっているそうで、とびっきりおいしかったです。


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今度は本物のナマハゲを見られる真冬に訪れてみたい。

土地の人による土地の人のための本物のナマハゲはどんな感じなのだろう。

謎に包まれたナマハゲの起源も含め、

もっともっと知りたくなる魅力的な地でした。


by lyrica-sha | 2019-09-28 14:10 | 取材日誌

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。日本の風景を詩的に綴る旅エッセイ、食の民俗学、食べるお守り、神々の食・神饌について書いてます。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(青弓社)。執筆ご依頼やお問い合わせはサイトの問い合わせ欄よりご連絡ください。https://lyricayoshino.com


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