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旅ライターとアレルギー児の京都旅

コラムなどで何度か書いたことがあるのですが、我が子には重めの食物アレルギーがあります。
卵・牛乳乳製品・ナッツ類・そばがNG。
ずっとアレルギー専門の病院にかかっていて、
経口負荷試験をしたうえで自宅でアレルゲンを少量から食べる治療をしていますが、
小学2年生になった今でも卵は一切摂取できず、乳製品はやっと1cc~2cc。
そば・ナッツはごくごく少量から解除中という状況です。
これだけアレルギーがあると外食できる店は限られます。旅行はさらにハードルが高い冒険です。

旅ライターの仕事をしている私は当然旅が大好きですし、仕事では毎月あちこちに行きます。
が、ここ8年間ほどはアレルギー問題があったため、仕事以外ではほとんど旅に出ずにきていて、
出かけるとしても、食材を持ち運べる日帰りにしていました。

でも、負荷試験のおかげでコンタミ(調理中や製造ラインからのアレルゲン混入)を恐れなくてよくなったことだし、
そろそろアレっ子連れの一泊旅行にチャレンジしてみようと、一念発起。
歴史好きの息子の夢を叶えるべく、京都旅行に出かけることにしました。

さて、アレルギー児連れのお出かけは事前の情報収集が肝心です。
まず最初にやるべきことは「アレルギー対応をしてくれる宿を探す」。
幸い京都は修学旅行生が多いのでアレルギー対応に慣れた宿も多く
おこしやす事業」としてアレルギー対応が可能な宿も公開されています。
このうちの一軒に問い合わせ、除去食・代替食での対応をしていただけることになったので、まずはめでたく宿泊先決定。

次に観光ルートを決め、外食できる店の候補をピックアップ。
息子のアレルゲンから考えると、洋食系(卵・乳が使われがち)、ラーメン系(麺に卵が)、エスニック系(ナッツが多用される)はまず除外されます。(わざわざ京都旅行でエスニックは食べないかもですが)
小麦は食べられるのでうどん店ならいけそうと思われがちですが、そばも出しているうどん店だとそば・うどんを同じ湯でゆでることが多いので不可。精進料理やヴィーガンカフェもナッツ類の使用が多いのでダメ。
消去法でもって純然たる和食でアレルゲン不使用のメニューがあるところを探します。
できれば大豆製品か、魚や肉をシンプルに焼くか煮つけるかしただけの食事が安心です。
おやつは当然洋菓子不可、食べられるのはせんべい、ゼリー、ようかんあたり。

こんな条件でHPやメニュー写真を見ながら候補をしぼり
「○○というメニューにはアレルゲンは含まれていますか?」と、一軒ずつ問い合わせ。
この作業を一ヶ月くらいかけて地道に進め、やっとプランができあがり、いざ京都へ行ってきました。


一日目は新幹線でおにぎりを食べさせて昼食をすませることに。
おにぎりだと鮭、昆布、梅あたりが食べられるので、普段出かける時は大抵おにぎりを買うか持参するかすることにしています。
京都についたその足で二条城へ。大政奉還の絵でみたあの場所が見たいということで。

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本当はそのまま金閣寺へ行き、息子がみたがっていた御土居や秀吉の墓も…と思っていたけど
この日の京都は40℃近い酷暑。
アレルギーの誤食も危険だけど、熱中症だって危険だ。
外を歩かせるのは危ないと判断し、行先変更。
室内で鑑賞できる京都国立博物館と三十三間堂へ。
三十三間堂の千体千手観音立像に圧倒されたらしく息子は一気に仏様の世界に興味を持ったようでした。

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この日はこのくらいで宿へ。
宿ではアレルゲン不使用の食事を用意してもらえ、安心してくつろぐことができました。
今回の食事は撮ってないのですが、写真は以前ほかの温泉旅館で昼食に作っていただいた除去食。
片栗粉であげた天ぷら、揚げだし豆腐、野菜の煮物、牛肉の味噌漬けなどを使った「卵乳そばナッツ不使用膳」です。
こんな感じで除去食膳を作ってもらいます。

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たくさんのお客さんがいるなかで通常メニューとは別に
一人のために別メニューを用意していただくのはとても大変だと思う。
だからアレルギー対応できる宿は限られるのですが
対応していただけて本当に助かります。ありがとうございます。
(繁忙期などはアレルギー対応が難しい場合もあると聞いていますので宿のお名前は伏せておきます)


翌日は暑さをさけて大原へ。
洛中よりもずっと標高の高い大原は気温も5℃ほど低いそうで
暑いことは暑いけれど、観光できないほどではありません。
静かな寺院が点在していてとてもいいところ。
緑に癒され、散策します。

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大原三千院は苔むす庭が目にも涼やか。
子ども向けには「三千院の仏様めぐり」というスタンプラリーがあり、息子も楽しそう。

さて、大原での昼食は大豆製品の湯葉ならいいのでは?と三千院門前の「京美茶屋」へ。
HPで写真を見た感じ「大原女セット」なら食べられそうだったので
事前に問い合わせしたところ、このセットなら卵・乳製品不使用ということ(ごまは使われていますが、ウチはごまはOK)。
冷奴、汲み上げ湯葉、きのこごはんを食べさせました。

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次は宝泉院。
昔「そうだ京都行こう」のCMのロケ地にもなったという額縁の庭がとてもよかった。
仏教音楽の声明発祥の地でもあるらしい。

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庭を眺めながら抹茶と和菓子もいただけます。
和菓子は卵乳不使用と教えていただき、ならばと息子と一緒に一服。
歴オタの息子は血天井についての説明にくいついていました。
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最初は縁側の部分に座ろうとしたんですが「血天井の下でお茶を飲むと言うのもね…」と住職さんに聞いて
あわてて部屋の奥の方へ。
血天井とは、徳川忠臣が自刃した床板を供養のために天井に使ったものだとか。
まさにこの頭上がそれ。しみのような血のあとが頭上に……。こ、怖いよう。

さて、大原でゆったりと充実した時間を過ごせて満足。洛中に戻ります。
最後にせっかくだから京都らしい風情が味わえるところでゆっくりお茶したい。
さあ、どうしよう。
息子が食べられるおやつは「せんべい、ようかん、あんこを使った生菓子、ゼリー」あたり。
そうだ、ようかんなら虎屋があるじゃないかということで「虎屋菓寮京都一条店」へ。

お店でアレルゲンについて聞いてみたところ
ようかんはもちろんOK、今の時期だとかき氷も卵・乳不使用ということ。
晴れて、庭園を眺めながらのんびりお茶を。ようかんと抹茶の組み合わせ落ち着く。
息子は限定の「青柚子氷」を。これがかなりおいしかったらしく「今まで食べた中で一番おいしいかも」とご満悦。

最後に新幹線で食べるお弁当を調達せねば。
駅で売られているお弁当に卵不使用のものはおそらくないだろうと思われたので
事前に京都駅直結の伊勢丹の老舗弁当ページをチェック。
HPをざっと見たところはつだの和牛弁当なら食べられそう。
というか数十種類お弁当があっても食べられるものは一種類あるかないかなんですよ。
そこで伊勢丹に問い合わせてみたところ、売り場の方が成分表示ラベルを読み上げてくれ、
卵乳不使用だったので予約しておきました。
新幹線に乗り込む前に受け取って、車内で食べることに。
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ごはんの上に炒めたキャベツ、その上にお肉がしきつめられたお弁当。
うん、材料もシンプルなので、これなら安心だ。
小2ともなると量もかなり食べるので息子はペロリとたいらげ、そして寝てしまいました。

こうしてアレルギー児を連れた京都旅行は無事終わりました。
アレルギーがあると、行きあたりばったりで探しても食べられるものがないことのほうが多いので
旅行は事前の情報収集や予約が不可欠。
だから事前準備は大変ですが、ゆっくりと美しいものを見ることができて母も満足。
またアレっ子と旅に出たいと思えたよい旅でした。

子どもが小さい頃はできないこと行けないところが多く、動けないジレンマにうぉーっとなることばかりでした。
ましてやアレルギーがあると行動が制限されることばかりで閉塞感すら感じてきました。
でも、小学生ともなると一緒にいろんなことが楽しめる。
しっかり準備すれば旅にもまた出られそう。
いい感じに楽しくなってきました。


by lyrica-sha | 2018-07-28 14:21 | 日記

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。りり花はlyricalから、「日本の旅を詩的に」がテーマ。食の民俗学、各地の食べるお守り、神々の食を取材しています。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(ともに青弓社)。ブログは徒然更新、最新情報はtwitterでつぶやいてます。https://lyricayoshino.com


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