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「まじない食」という言葉について

本を出してからいつも「まじない食」とはなんですか?と聞かれます。
耳慣れない言葉ですよね。そうだろうと思います。
というのも「まじない食」とは私が作った言葉だからです。

伝統食とか縁起食といわれていた言葉と近いと思いますが、
私が出したかったニュアンスは「まじないをするように良いことありますように願いを込めて食べる食べ物」ということ。
自分たちの身近にある素敵な食べ物であるということ。
縁起食よりもさらに細分化された明確な願いを込め、地域に伝わる食であることでした。

私は小学校・中学校くらいから民間信仰や伝承に関することに興味があり
図書館で古い資料やらあさって読んでいました。
(当時それが民俗学というジャンルであることに気づかず、
間違えて日本文学科に進んでしまったのは本に書いた通りです)

すごく大好きなジャンルですが、堅苦しく、古めかしい印象が強い民俗学。
でも、人が生きてきた、考えてきたことを映し出す、とっても面白く示唆に富む分野です。
それを今に伝える風習の多くは、世の移り変わりの中で存在意義をなくし、消えそうになっている。

できれば今まで民俗に興味のなかったような人たちにも、
へー、こんなのあるんだ、面白い!と感じてもらえるような入り口になる言葉を作りたかった。
知ってもらうことで、これから先に残せるきっかけになるかもしれない。
だから、堅苦しい呼び名ではなく、「まじない食」と名付けました。

今回本を出して「まじない食という言葉には違和感がある」という反応もある一方で、
「まじない食って元々ある言葉だと思っていた」という風にすんなり受け入れてくれる人も多くいました。
ここから「まじない食」という言葉が育っていくのかな。

来年からまた、まじない食の取材第二弾をはじめようと思います。
来年もたくさんのまじない食に出会えますように。

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by lyrica-sha | 2016-12-29 23:13 | 食べるお守り「まじない食」

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。日本の風景を詩的に綴る旅エッセイ、食の民俗学、食べるお守り、神々の食・神饌について書いてます。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(青弓社)。執筆ご依頼やお問い合わせはサイトの問い合わせ欄よりご連絡ください。https://lyricayoshino.com


by 吉野りり花