「まじない食」という言葉について
2016年 12月 29日
本を出してからいつも「まじない食」とはなんですか?と聞かれます。
耳慣れない言葉ですよね。そうだろうと思います。
というのも「まじない食」とは私が作った言葉だからです。
伝統食とか縁起食といわれていた言葉と近いと思いますが、
私が出したかったニュアンスは「まじないをするように良いことありますように願いを込めて食べる食べ物」ということ。
自分たちの身近にある素敵な食べ物であるということ。
縁起食よりもさらに細分化された明確な願いを込め、地域に伝わる食であることでした。
私は小学校・中学校くらいから民間信仰や伝承に関することに興味があり
図書館で古い資料やらあさって読んでいました。
(当時それが民俗学というジャンルであることに気づかず、
間違えて日本文学科に進んでしまったのは本に書いた通りです)
すごく大好きなジャンルですが、堅苦しく、古めかしい印象が強い民俗学。
でも、人が生きてきた、考えてきたことを映し出す、とっても面白く示唆に富む分野です。
それを今に伝える風習の多くは、世の移り変わりの中で存在意義をなくし、消えそうになっている。
できれば今まで民俗に興味のなかったような人たちにも、
へー、こんなのあるんだ、面白い!と感じてもらえるような入り口になる言葉を作りたかった。
知ってもらうことで、これから先に残せるきっかけになるかもしれない。
だから、堅苦しい呼び名ではなく、「まじない食」と名付けました。
今回本を出して「まじない食という言葉には違和感がある」という反応もある一方で、
「まじない食って元々ある言葉だと思っていた」という風にすんなり受け入れてくれる人も多くいました。
ここから「まじない食」という言葉が育っていくのかな。
by lyrica-sha
| 2016-12-29 23:13
| 食べるお守り「まじない食」