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遠野のこびる「けいらん」

遠野関連の本を読むことが増えましたが、この本、面白い!



『遠野物語の原風景』内藤正敏著



佐々木喜善は大本教の信者であったとか、
遠野では隠れ念仏が行われていたとか、
河童伝説の背後にひそむ不義密通の歴史とか、
遠野物語を生み出した風土に、濃ーく迫る本です。


さてさて、この本の中に遠野の食文化の背景にも書かれていましたが、
ひえのカテ飯が常食であり、白米を食べられることは稀で、川魚が貴重な蛋白源だったよう。
このことは河童のイメージを生み出す原因にもなったようです。
ふえ~、面白い。

雑穀が主であったことは餅や団子の豊富さにもつながるんでしょうか?
しとねものと、餅料理の起源はどう違うんだろう。
もとより岩手の餅料理の豊富さは有名で、花巻に行ったときには
「かあちゃんハウスだぁすこ」という道の駅によったのですが、
餅料理が多彩で驚きました。
一関には「もち膳」もあります。

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桃の節句のきりせんしょ、青大豆で作る青ぎんとう、お茶を使っていないのにお茶餅。
まだまだいろいろ。写真はおととし「だぁすこ」で買ったきりせんしょ。
遠野の伝承園でも食堂にはけいらん、がんづき、焼きもちなどが並んでいたので、
やはり遠野も餅食、しとねものの食文化なのかなと興味を持ちました。

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写真は「けいらん」。
遠野では農作業の間に食べるちょっとしたおやつのことを「こびる」というそうです。
けいらんはその名のとおり鶏の卵のような形をしています。
小麦粉(米粉)を練って作った皮にこし餡を包み卵型に成形したものを
茹でて白湯に入れた状態で食べます。

ほんのりとあったかい白湯に入ったけいらんは、
つるつるの外見と裏腹にほおばるとふわっとやわらかい。
よくあるお饅頭と同じ味のはずなのに舌の感触が一味違って面白い。

以前書いたたミズキダンゴは
もち粉と上新粉、それにきらず(おから)を練って作るそうで
あぶっても焼いても揚げてもおいしいそうです。

がんづきは今回食べられなかったけど、重曹を使った黒糖団子のような外観。
見た目きりせんしょとも似ています。
きりせんしょは桃の節句に供えるもので醤油と砂糖とごまの香りが香ばしいあまじょっぱい食べ物。
がんづきはどんな味なんだろう?
鹿児島の「ふくれ菓子」の味を想像しているのですが。
次回遠野に行ったらチャレンジしよう。

そして、これらの原料は米と大豆、小豆、小麦など。
穀物だらけだ。
遠野の餅菓子団子菓子については全容が知りたいです。

ちなみに伝承園のつみっこは半日かけてじっくりだしをとった
鶏ガラスープなんだそうです。
つみっこは花巻の賢治記念館や遠野で宿泊したあえりあ遠野でも食べましたが
本来は賢治記念館やあえりあで食べられるような
うすい醤油味がスタンダードなんだそう。
伝承園のものは伝承園アレンジらしいです。
by lyrica-sha | 2014-05-04 08:27 | 取材日誌

日本の旅ライター・旅エッセイスト吉野りり花のブログです。日本の風景を詩的に綴る旅エッセイ、食の民俗学、食べるお守り、神々の食・神饌について書いてます。著書『日本まじない食図鑑~お守りを食べ、縁起を味わう』『ニッポン神様ごはん~全国の神饌を訪ねて』(青弓社)。執筆ご依頼やお問い合わせはサイトの問い合わせ欄よりご連絡ください。https://lyricayoshino.com


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